VAN HALEN(ヴァン・ヘイレン) / 炎の導火線(VAN HALEN)
VAN HALEN
- 01.悪魔のハイウェイ “Runnin’ with the Devil”
- 02.暗闇の爆撃 “Eruption”
- 03.You Really Got Me
- 04.叶わぬ賭け – “Ain’t Talkin’ ‘bout Love”
- 05.I’m the One
- 06.ジェイミーの涙 – “Jamie’s Cryin'”
- 07.Atomic Punk
- 08.おまえは最高 – “Feel Your Love Tonight”
- 09.Little Dreamer
- 10.Ice Cream Man
- 11.炎の叫び – “On Fire”
1978年2月にリリースされた本作は、それまでのギタープレイを根本的に、そして革新的に変えてしまう画期的作品となった。
エドワード・バン・ヘイレン(EDWARD VAN HALEN)、エディの登場である。
わずか3週間、4万ドルという低予算で制作された彼らのデビュー・アルバムは、その注目度の低さとは裏腹に全米チャート19位を記録するスマッシュ。ヒットとになる。
サンセット・サウンド・スタジオで、テッド・テンプルマンによって録音されたサウンドは、まさに唯一無比のもので、ライブ・バンドとしての彼らの魅力をそのまま詰め込むことに成功している。
まだまだラフということになるのかもしれないが、オーバーダブがほとんど無いので、ギターソロの後ろにバッキング・ギターの音は聞こえない。なんとも潔い
後にブラウン・サウンドと呼ばれるそのギター・サウンドは、当時の歪み系サウンドの主流であったファズ・ボックス的な歪みとは全く違った。太さとブライトさが両立し、彼の指先でコントロールされた魅惑のドライブ・サウンドであった。
「どうやって弾いているのか分からない!」「新しいシンセじゃないの?」という憶測が飛び交う中、切り刻まれたアイバニーズのデストロイヤーをプレイする「YOU REALLY GOT ME」 のビデオは衝撃以外の何もでもなかった。
左手の指を使ったタッピング奏法は、当時ライトハンドと呼ばれ彼の代名詞的奏法となっていたが、それ以外にも彼のプレイに謎は山のようにあり、その後のギター雑誌は、その謎の解明に躍起になることになる。
ロック・ギターは、エドワード・ヴァン・ヘイレン前とエドワード・ヴァン・ヘイレン後に区別されたといっても過言ではない。
そして、このバンドが持ち込んだ新たなロック・テイストが良い意味での ”明るさ””軽さ””ジョーク”といったアメリカン・テイストである。それまでのロック・バンドに求められていた「ロックとはこういうもの」的、ワイルド、キメ、泣き、タメ、のようなものを、あっさり排除している。
エディはいつも笑っているのだ。
笑いながら何かとんでもないことをやっている。それが、彼らのデビュー・アルバムなのだ。
エピソード1 - 暗黒の爆撃(Eruption) の誕生
ある時、レコーディングの合間にギターを弾いていたエディにテッドが「そりゃ何だい?」と聞いてきた。エディは「たいしたものじゃではないよ」と答えるも、テッドの興奮は収まらない。レコーディングに使えるようなものじゃないと思っていいたエディの練習フレーズはアルバムに収録され全世界の度肝をぬくことになった。
エピソード2 - YOU REALLY GOT ME が盗まれそうになったんだって事件
1stのレコーディングが終わり仲間に自慢したくて仕方がないエディは、出来立てのラフ・ミックスをエンジェルのメンバーに聴かせてしまう。エンジェルのメンバーが真剣に聞いているの見てご満悦のエディ!ところが、その数日後、エンジェルが「YOU REALLY GOT ME」をシングルで出すと噂を聞いたテッドが「あのテープ誰かに聴かせたか?」とエディに聞くと、あっけらかんとエディは答えた。
「うん、みんなにね」、テッドは怒り狂ったらしい。
「YOU REALLY GOT ME」はエンジェルの霞め取られていたかもというお話でした。
エピソード3 - エディ、ギター・チューニングの謎
当時ギターキッズは挙ってこのアルバムのコピーをするのだが、何かが違うことに戸惑うことになる、そう、チューニングがおかしいのである。半音下げチューニングだということには気付くのだが、それでも何かが違う。レコードに合わせて弾くと明らかに違う。ヴァン・ヘイレンにはキーボードがいないからエディとアンソニーで合っていればチューニングはそれでよかったのであろうが、ただ適当というわけでもなさそうだ。特に2弦3弦の鳴りが異常に良い!チューニング・メーターでチューニングしたのではあんなサウンドにはならない。ピアノの調律師がピアノっぽいチューニングをするように、エディもギターの鳴りを最大限生かせるような気持ち良いところ見つけていたのであろう。
結論、半音下げチューニングから2弦3弦が上手く響くように3弦を気持ち上げて、その3弦に合わせて4,5,6,1弦をチューニングするといった感じです。